2019-01-01から1年間の記事一覧

球面テンソル演算子についてのメモ

J.J.サクライ『現代の量子力学』の3.11節「テンソル演算子」(1版では3.10節)に入ったところで何をしているのか分からなくなり、特に球面テンソル周りの数式が何をやっているのか意味が取れずそこで止まっていた。 だいぶ試行錯誤して考えがまとまってきたの…

電磁気学における磁場BとHの関係(その2)

電磁気学における磁場BとHの関係(その1)の続き。 その1で、磁化を考慮しないでも生じるBとHの違いを扱ったので、この文章では、磁化の扱いで生じるBとHの違いを扱う。 目次: 磁石(磁化)のモデル化の仕方とその影響 磁荷双極子モデルと微小ループ電流モデル …

電磁気学における磁場BとHの関係(その1)

磁場のBとHの違いを説明する場合、たいていは 磁化の影響を取り込んで補正したことによる違い。または、 磁化をどうモデル化したか(磁気双極子or微小ループ電流)による違い。 の問題として説明される。 でも、たとえ磁化を一切扱わなくても、概念的には区別…

「 田崎晴明『熱力学』の温度の定義について 」への訂正と補足

以前「 田崎晴明『熱力学』の温度の定義について」という文章を書いた。書いたことのうち必要な部分を要約する(+多少補う)と、 田崎『熱力学』では、次のように議論が進んでいる。 2.4節(p.31)で、使用する温度として、はじめから「摂氏温度に273.15度加えた…

リー群の入門的なこと

リー群というのは、おおざっぱには「微分ができる群」だと説明できるけれど、正則行列や指数行列を使って説明するものもあれば、多様体を使って説明するもあったりで、なかなか分かりにくい。 目次: リー群とは リー群の扱い方 微分でリー群の特徴を取り出す…

群のコホモロジーについての補足

以前書いたメモ:ヒルベルトの定理90への補足(あるいは関連する話)。 ヒルベルトの定理90は、1897年の『報文』(Zahlbericht)に出てくる定理。群のコホモロジーのH1(Gal(L/K), L×) についての主張の特別な場合(巡回拡大の場合)とみなせる。 河田敬義『ホモロジ…