無職になる

2年前から給料未払いだったから実質無職だったのと変わらない気もするけど会社職場も消滅し正式に無職の状態になって3ヶ月ぐらいになった。貯金の残りからすると今年中にも破綻しそうだけど考えるのも面倒なのでとりあえず本を読んでいる。読んだ本のいくつ…

球面テンソル演算子についてのメモ

J.J.サクライ『現代の量子力学』の3.11節「テンソル演算子」(1版では3.10節)に入ったところで何をしているのか分からなくなり、特に球面テンソル周りの数式が何をやっているのか意味が取れずそこで止まっていた。 だいぶ試行錯誤して考えがまとまってきたの…

「 田崎晴明『熱力学』の温度の定義について 」への訂正と補足

以前「 田崎晴明『熱力学』の温度の定義について」という文章を書いた。書いたことのうち必要な部分を要約する(+多少補う)と、 田崎『熱力学』では、次のように議論が進んでいる。 2.4節(p.31)で、使用する温度として、はじめから「摂氏温度に273.15度加えた…

小田勝『読解のための古典文法教室』

タイトルの惹句に「大学生・古典愛好家へ贈る」とあるように、同著者の『実例詳解古典文法総覧』をベースに分量を絞って学習参考書的な内容にしたという趣きの本。『実例詳解古典文法総覧』が700ページを超えるのに対して、本書は250ページほど。 『実例詳解…

Lispの壁の高さ

『文學界』10月号に載っている円城塔「プロローグ」第6回で少しだけLispやSchemeやGaucheについての話題になっていた。小説でGaucheへの言及があるのは他は木本雅彦『くあっどぴゅあ』だけだろうか。 Lispの処理系を入れたが、対話環境を触っても釈然とせず…

田崎晴明『熱力学』の温度の定義について

田崎晴明『熱力学』での温度の扱い方と説明は、一見した判りやすさに反して、実際には微妙に判りにくいように思う。

どんな読者を想定しているのかよく判らない: 『高木貞治 類体論への旅』

序には 予備知識としては、基本的に高校数学で学ぶもので足りるとして、[…] と書かれているけど、色々な概念や定理がすごくあっさり説明されてあちこち話が進んでいくので、高校レベルの数学知識で読み進められそうな感じがまったくしない。それどころか大学…

デュドネ編『数学史 1700-1900』で登場回数の多い数学者

オイラーについて教えてくれ http://science6.2ch.net/test/read.cgi/math/1134551417/ から。

良い本だけどタイトルで損しているような: 加藤和也『フェルマーの最終定理・佐藤-テイト予想解決への道』

タイトルだけみるとかなりレベルの高い専門書という印象を受けるのだけど、実際には前書きに 予備知識をあまり必要としないで理論の全体像を理解していただけるものにすること。[...]証明を書く代わりに、実例を多く提示することで説明をおこなった。 とある…

高瀬正仁『ガウスの数論』

タイトル通り、ガウスの数論を詳しく紹介している。説明自体は非常に明解で、ガウスの思索が相互法則の周りを常に巡っていることも分かる。にもかかわらず、ガウスはどうしてこんなことをやったんだろうという不可解な気分がずっと消えなかった。何か孤高と…

プログラムテストの本について

プログラムのテストについて書かれている本(でタイトルには「テスト」と入っていないもの)5冊

中根美知代『ε-δ論法とその形成』

ε-δ論法の成立をめぐる歴史を考察した本。ε-δ論法の歴史についてしばしば語られる見解は首尾一貫していないように見えるけれど実際のところはどうだったのかというのが、この本の出発点のひとつ。 例えば、次のどちらの主張もおそらくよく聞く話だと思う。

『SFが読みたい!』で票の入ったライトノベルのリスト

2000年版(ベストSF1999)から2010年版(ベストSF2009)までで得票のあったライトノベルをリストアップしてみた。

面白かった世界史の新書5冊

時代や地域が偏りすぎているけれど。 川北稔『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書) 菊池良生『神聖ローマ帝国』(講談社現代新書) 藤沢道郎『物語イタリアの歴史』(中公新書) 岡田暁生『西洋音楽史』(中公新書) 朝永振一郎『物理学とは何だろうか』(岩波新書)

恩田陸『三月は深き紅の淵を』4章の雑誌掲載版と単行本版の差異

たぶんよく知られていることだけど、恩田陸『三月は深き紅の淵を』の4章は単行本になったときにかなり書き直されている。すでに捨てたと思っていたその4章の雑誌掲載時の切り抜きが出てきたので、大雑把に比較してみる。 4章の基本的な枠組み自体は雑誌でも…

法月綸太郎のクイーン論について

後期クイーン問題について 法月綸太郎のクイーン論というと、おそらく「後期クイーン問題」という言葉がすぐに出てくる。 法月は後期クイーン問題について次のように言っている(2006年に瀬名秀明とおこなわれた対談にて)。

書くかもしれないことのリスト

というよりも、ずいぶん昔に書こうと思ったことの断片。

高瀬正仁『無限解析のはじまり』

高校の数学の問題に対数が出てくるときは、と変数部分にやたらと絶対値の記号がついていた印象がある。負の数についての対数の値を定義していないことへの対処だろうけど、それなら「xが負のときは」と最初から定義しておけばいいのに、と当時思った。 (一応…

『それでも町は廻っている』の13話14話のサブタイトルが「それでも町は廻っている」なのは何故か

石黒正数『それでも町は廻っている』の2巻を読んだとき、どうして13話14話のサブタイトルが「それでも町は廻っている」なのかと不思議に感じた。 第2巻に収録されている話は次のとおり。

法月綸太郎『生首に聞いてみろ』と「複雑な殺人芸術」

豊崎由美の書評は内容の妥当性と関係なく読むとたいてい不快な気分になる。そういう芸風なのかもしれないけど合わない。とくに、法月綸太郎『生首に聞いてみろ』に対するほとんど同じような内容の書評を続けて三つぐらい見たときは、すごく嫌な気持ちになっ…

法月綸太郎『密閉教室』に出ていた英文

ふと、法月綸太郎の『密閉教室』の中で主人公が割と唐突に引用する英文がどういう意味なのか未だにわからないままだったことを思い出した。 「111 卑しい街を」の最後のところ。 例の文句を思い出して、引き下がるつもりなどないことを証明してみろ。 「バッ…

谷川流『学校を出よう!』5巻・6巻への竹本健治『ウロボロスの偽書』の影響など

学校を出よう!〈5〉NOT DEAD OR NOT ALIVE (電撃文庫)作者: 谷川流,蒼魚真青出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2004/09/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (88件) を見る学校を出よう! (6) VAMPIRE SYNDROME 電撃文庫 (…

ウラジーミル・ナボコフ『青白い炎』についてのメモ: レムニスケートのこと

レムニスケートなんて一般的に知られているような単語ではないけれど、ナボコフの『青白い炎』に登場する。ただ翻訳では「レムニスケート」とは出てこない上にその部分の意味がわからなくなっているので、そのことのメモ。

ゲーム音楽についてのメモ

岡田暁生『音楽の聴き方』を読んでいて、ゲーム音楽は他の音楽とどのくらい違う(違わない)のだろうと少し思った。 そして私自身が音楽を聴くときの目安にしているのは何かといえば、それは最終的にただ一つ、「音楽を細切れにすることへのためらいの気持ちが…

高木貞治と数学基礎論

田中一之「ゲーデル・4つの謎」という文章に次のようにある。